そゞろごと

noli me legere

「金色夜叉」つづき

金色夜叉」続篇まで読み終る。あまりの急展開、それもありえないような展開に、これはもしや夢でした、なんてことになるんじゃないか、と思ったら本当に夢だった。「不思議に愕くと為れば目覚めぬ。覚むれば暁の夢なり」……ふう、しかしここのところは当時の読者も薄々夢オチを疑いながら読んでいたのではないか。じっさいここだけいきなり徳川時代に逆戻りしたかのような、まるで浄瑠璃の台本を見ているような荒唐無稽さだから。

しかし死んで罪を償うとか、私は大嫌いだね。申し訳が立たんから自害するとか、いっそ殺して下さいとか、そういうのでけりをつけるのは一種の機械仕掛の神だと思う。このこんぐらかりにこんぐらかった物語をどう捌くのか、あと100ページばかりだが、作者の手腕に期待したい。