そゞろごと

noli me legere

2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

パパはお父さん

息子には「お父さん」と呼ばせ、娘には「パパ」と呼ばせる。それが正しい日本の父親のあり方だ、と私は固く信じているのだが、どうもこの方針を堅持している家庭が少ないようなのは残念だ。息子も娘もいる父親が、片方にはお父さんと呼ばせ、片方にはパパと…

地下鉄のザジを地下鉄で読む

まあ地下鉄の中で読まないまでも、こういうものを家で机に向って読むのはどうかと思う。書を棄てずに町へ出て読むべき本だ。ちょっとがやがやした喫茶店の中ででも──作者のクノーはこの本について、「あっちへ行っては引き返し、こっちへ行っては引き返し、…

物欲の秋

物欲とは何か、と考えていると、これが不可解なものにみえてくる。というのも、こんなものは生存のために何の役にも立ちはしない。食欲や性欲とはまったく異なったものだ。じっさいこれは人間に特有な欲望であって、動物にはたえて見られない。しかも、であ…

中国という国名

石原慎太郎は中国をシナと呼んでいるそうだ。彼によれば、中国とは日本の西の方の地方をさす。これと似たようなことを呉智英もいっていた。彼らはまるで中国は中国にあらず、という詭弁を弄しているかのようだ。じつは私も中国といえばせいぜい中華民国以来…

形而上詩人、谷川俊太郎

谷川俊太郎の詩を読んでいると、どうでもいいような想念が頭に浮んでくる。たとえば──もし彼が俊太郎という名前でなくて慎太郎だったら、はたしてあのような詩人になっていただろうか。同様に、石原慎太郎がもし俊太郎という名前だったら、あのような政治家…

ジョディ・フォスター対アナ・トレント

──理想のロリータ女優はだれですか? ──「ミツバチのささやき」のアナ・トレントです。異論は認めません。 ──僕は「タクシードライバー」のジョディ・フォスターが一番だと思いますね。 ──えええ!? あんなの思いきりやらせじゃないですか。 ──そうかもしれ…

非デカルト的省察

Une seule poupée m'a sauvé de la vie infernale.とまずでたらめフランス語で呟いておいて──「われ思う、ゆえにわれ在り」という定式をもって近代哲学の鼻祖となったデカルト。しかしこういう考え方は、古今東西、ある種の人々にとっては自明のことだった。…