そゞろごと

noli me legere

レルベルグの五月の歌

  飛 び 翔 る 共 感

この青空のどこからともなく、
五月の息吹にのって、
あらゆるものへの共感が
薫る風のなかをわたってゆく。

このよき日々に、ときとして
夢みる人や若い娘は、
かれらの魂のまっしろな歩みのうえに
目には見えない愛の昂まりを感じる。

だれのまなざしからともなく、
笑いと涙のうちにいくつもの唇があらわれ、
その見も知らぬ唇が
かれらの唇のほうへ花のように開く。

その魅力はつよく、またあまく、
さやさやと触れてくる愛撫に
かれらの額はふたたび若くなり
尽きせぬ夢想をそこにとどめる。


五月なのでヴァン・レルベルグの五月の歌を訳してみた。しかし彼の詩を知るには、へたな和訳を読むよりフォーレの歌曲群を聴くほうがはるかに捷径なのである。華のある「イヴの歌」よりも、むしろ地味な「閉ざされた庭」をおすすめしたい。これらのふわふわした、とりとめのない、断章のような楽曲のうちにレルベルグの本質のすべてが捉えられている。