そゞろごと

noli me legere

落としどころ

ある人のブログを見ていたらこの言葉がでてきた。落としどころ。最近よく耳にする言葉だ。正確な意味は知らないけれども、なんとなく言わんとすることはわかる。それはやっぱり現代日本に生きている日本人だから、いやでもある程度は分ってしまう。

この言葉と私の中で対になっているのが「落とし込む」という表現。これもまあなんとなくわかる。そしてこれらと微妙に関連しているのが「案件」なる言葉だ。

案件、落とし込む、落としどころ。私はジジイなのではっきりいうが、こんな言葉は大嫌いで、自分ではぜったいに使わない。言葉に対しては異常なくらい保守的なのである。またそうでなければジジイとしてのアイデンティティがぐらついてしまう。

若者がこういう言葉にとびついて濫用するのはまあ為方ないとして、なにも年寄りが若者の真似をしてこんな妙ちきりんな言葉を使わなくてもいいじゃないか。

それでふと思い出したのは高山翁だ。あの人なら「予定調和」と書いて「おとしどころ」とルビをふるくらいのことはしかねない。本気でやっているのかジョークなのか分らないところがあの人の魅力なんだな、と改めて思う。